ひどく贅沢な一夜かもしれない。

 ひさしぶりにライヴハウスの人となる一夜がある。
 この人たちに逢いたくて。ボクの師匠の一人・友部正人さんに、中川敬クンとリクオが絡むとなれば、現在最も聴きたい人たちの集う一夜ということになる。
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 淡々と開場を待つ。この建物は今年100年を迎えるという。店が、ではなくて建物が。
 言わずと知れた「磔磔」。蔵の中を改造して音楽のための濃密な空間を作る。店自体もたしか40年を越えたのではなかったかしら。
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 京都の繁華街・四条通りをドトールコーヒーからどんどん下がってまっすぐ行けばいいはずなのに、ボクの記憶の中に「散髪屋の角を曲がる」という誤った情報が刷り込まれているために、途中で必ず迷う。不思議であります。今回も二度、迷った。とにかく真っすぐ、でも微妙に歪んだ道を真っすぐ行くんであるとここに明記しておこう。でも次回もきっと迷うんだろうな。

 おそらくは京都のもう一つのライヴハウスの老舗「拾得」への行き方とごっちゃになってるんだと思う。「電気屋の看板を曲がる」(笑)。その拾得だってバスを降りて歩いていけとなると迷わない自信はあんまりない。拾得の時はたいがい三条で軽く飲んでタクシーで開場ギリギリに駆けつけることがほとんどだから。堕落したもんである。
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 今回3人を「繋いだ」のはリクオ。「ホーボーズ・コネクション」と題された、長く続いている彼のライヴ・シリーズの中の最新の一夜。リクオはすなわち「繋ぐ人」であります。タイトルからしてコネクションですものね。ボクはサスペンダー倶楽部の会員さんに繋いでもらって久しぶりのライヴ空間に身を置くこととなる。土曜の夕刻とあってまたしても仕事帰り。春一番コンサートの時は野外ということもあり着替えて出かけたが、今夜はもろにネクタイにスーツ姿となってしまった。せめてもとネクタイだけはライヴ仕様の、いちばん派手なものに締め替えたけど。雰囲気を壊すようで申し訳ないなあと思いつつ、でも誰もそんなことは気にしない(ように思う)。ステージの上から時おり中川クンの目線が来てるように思ったんだが、もちろん錯覚です。彼の唄うスタイルがそういうもんなのです(と自分を納得させる)。
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 雑然とした中に、様々な情報とそれを伝えたい人々の思いと、記憶と、……詰まっている。ヘンな話だが立命の文学部・清心館の階段の壁の貼紙を思い出す。

(つづく)
 

by club_suspenders | 2017-06-01 09:40 | かいわれ通信 | Comments(0)

本とその周辺の日々。


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